SBIG ィープ・ペース・ペクトロスコープ

DSS-7


恒星の形成成分や星雲の構成、更にはレッドシフト測定がお手元のSBIG社製カメラで行なって頂けます!



最終アップロード日:2012年6月29日
(内容の一部には実際とは違なる箇所が存在する場合がございます。予めご了承の上、旧製品情報としてどうぞお役立て下さいませ。)


6月1日現在、DSS-7は完売となりました(そして、メーカー在庫なし)
多数のご注文にSBIG社及び弊社共々、心より御礼申し上げます!
誠に有り難うございました!

ご安心下さい!:
現在までの同製品をお買い上げのユーザー様につきましては、引き続き、SBIG社にてアフターサポート全般を誠意継続させて頂きます!どうぞご安心下さいませ。これまでの変わらぬご愛用をよろしくお願い致します!!




「DSS-7」デイープスペース分光器

 SBIG社のディープスペース分光器「DSS-7」は、星の分類から星雲の分析、銀河のレッドシフトに至るまで、天文アマチュアの方が常に興味を抱くスペクトル観測に最適な分光器です。
 「DSS-7」は、同社製のセルフガイド分光器「SGS」に比べ、より安価な、かつ汎用性の豊富な装置です。この「DSS-7」は、同社製の「ST-7XME」や低価格「ST-402ME」CCDカメラに最適な小型分光器装置ですが、同じく同社製の「ST-8/9/10/2000シリーズ」や「ST-237(A)」等でもご使用頂けます。(
「STLシリーズ」との併用につきましては、内蔵フィルターホイールの内蔵化等の構造により、より長いバックフォーカスとなっておりますので、ご使用頂けません
 さて、これより「DSS-7」について詳しく述べ、観測できる実例を挙げます。

 分光学の基礎:分光器は、色や波長の関数として光の強度のグラフを作成する事のできる装置です。分光系は、選択できる1色のみを測定する装置で、モノクロメーターは1色のみを転送する装置です。この「DSS-7」分光器は、 KAF-0402シリーズのCCDチップ(ST-7/402に搭載)上で4000〜8000Åもの波長を分離するよう設計されています。ちなみに、人間の目では約4500(濃紺)〜7000Å(暗褐色)までを感知し、ピーク感度は5550Åと言われています。





 SBIG社製CCDカメラで使用される「シリコンCCD素子」は、人間の目より広い範囲を感知します。
 大部分の星は、連続波長に重ね合わさった多くの吸収線があります。一例を挙げると、オリオン大星雲の大部分の「S」散光星雲は、Hα(6563Å)、Hβ(4861Å)、O-III(5007Åの3重イオン化酸素線)などのいくつかの明るい輝線からなるスペクトルを生成しています。(オングストローム(Å)は、1mの1/100億分の一。)
 また、波長をナノメーター(nm)単位で表すこともありますが、これは、1mの1/10億分の一です。ちなみに6563Åは、656.3nmとなります。
 系外銀河には多くの星の集合のスペクトルがあり、どの銀河にも同様なスペクトルがあります。大部分の銀河の明白な特徴は少ししかありません。銀河のコアには古い星があるため、ナトリウム吸収線が見えます。
 サイファート銀河やその他の活発な銀河は過分なHαが見えますが、これによりレッドシフトを簡単に決定できるので便利です。





 クエーサー/新星/超新星等は、一般に強い波長の、6563Åもの放射を示します。クエーサーの場合、数百Åというかなりのレッドシフトを示すことがあるので、実際は異なる波長で見えることがあります。
 新星の場合、その星が我々の銀河内にあるので、ほんのわずかしか偏移しませんが、大幅に広げることができます。高温のため個々の水素原子は極めて高速で移動しており、線を拡げるドップラーの拡がりが生じます。
 星は、よく知られているOBAFGKMグループにスペクトルで分類できます。極めて高温の星は、スペクトルにあまり特徴がありません。たぶん、少数の水素線があるだけです。
 後述のベガのスペクトルでこれを示します。低温の星は古い星であることが多く、多数の金属線があり極めて複雑で構造化されたスペクトルを示します。
 また、強い輝線や他の構造を示す変わったタイプの星もいくつかあります。「DSS-7」でこれらの特徴を明らかにすることができます。




光学設計

 「DSS-7」の光学設計を下記の図1に示します。光は入光スリットから分光器内部に入り、下記のように通過/屈折し、コリメーションレンズで平行光に変換されます。そしてこの平行光は、ディフラクション・グレーティングにぶつかって、異なる色が異なる角度で反射されます。同様な効果は、光がCDやDVDで反射される場合に見ることができます。グレーティングで屈折した光は、焦点レンズで集光され、CCDにイメージングされます。スリットを通る分離した波長の光は、垂直線にイメージングされます。光がスリットを満たさない場合(星の場合など)は、分離した波長によってCCDに星のような点が生成され、線に沿って異なる波長が広がります。これを次のいくつかの図に示します。


図1




下記の図2に「DSS-7」の入口スリットの様子を示します。中央部の最も狭いスリット(50μ)は、その上の狭いスリット(100μ)と中央下部の広いスリット(200μ)の間に位置しています。最も広い400μのスリットは、スリットパターンの最上部と最下部にあります。50μスリットとは、約0.05mmもの開放幅となり、とても微細なサイズである事がお分かりお分かり頂けると思います。


図2




下記の図3に、このスリットが水素光で照射された時に収集されるスペクトルを示します。2つの主要波長「6563Å」および「4861Å」は、水平に置き換えたスリットの2つの画像を生成します。


図3




下記の図4に、永続輝線を持つ特別な星、はくちょう座の「P星」の観測時に収集したスペクトルを示します。この「P星」からの広帯域放射によって水平線が生成されます。輝線は明るい点として、大気放射による線(自然なまたは明るい光害)はスリットパターンのコピーとして示されます。この画像では、大気放射による線は、よく見えるように強調されています。この「P星」は十分に光量のある星ですので、露光時間が短くてすみ、大気放射による諸影響が少ない条件で捕らえる事が可能です。


図4




ここで、必然的な質問です。
測定する星をどのようにして50μものスリットに「導く」のかという事です。
下記の図5でDSS-7のメカニズムについてご説明致します。


図5

上記の図5は、実際の光路方向と一致しています。つまり、測定する星の光は、上図の左側から導かれます。スリットとディフラクション・グレーティングは、両方ともモーター駆動です。スリットはコンピュータ制御下で外側や内側に開くようこちらもモーターで駆動されます。グレーティングも、1次(スペクトルを生成)とゼロ次(画像を生成)の位置間を駆動できるようにモーターで駆動されます。ゼロ次の位置では、グレーティングは鏡のように動作し、スリットが取り付けられている場合、その画像をCCD素子に反射します。測定する星をスリットに入れるには、まずはソフトのコマンドによって、スリットを取り除き、グレーティングをゼロ次の位置に配置し、カメラをフォーカスモードに設定します。そして、望遠鏡のコントローラーを使用して、ソフトウェアが生成したスリットの位置を示す線に星を移動し、「CAPTURE SPECTRUM」ボタンをクリックします。コンピュータは即座にスリットを挿入し、グレーティングを1次の位置に移動し、露光を開始します。





下記の図6にグレーティングがゼロ次位置の画像品質を示します。画質は良好です。


図6

SBIG社製「DSS-7」は、F10からの光束線を受けるように設計されています。このF値は、世界的に広く人気のあるシュミットカセグレン望遠鏡の規定値であり、「DSS-7」の撮像モードでは、0.5倍のテレコンプレッサーのように動作するため、CCDの実視野を広げる事が可能でき、長焦点である上記鏡筒においても、決してご利用が難しいと言うことはありません。また、分光モードでは、実際に0.5倍のテレコンプレッサーレンズの役割を発揮し、一般の星雲や系外銀河などの広がりのある天体に合わせ、感度が向上します。F10より明るい望遠鏡からの光束線を受光する事は、もちろん可能ですが、この際は光束の中心部のみを受けつける形となり、どうしてもレンズ周囲の光にはケラレが生じてしまいます。

この「DSS-7」に内蔵の小型DCモーターは、「006P-9 V」の乾電池で駆動します。このモーターは、ケーブル/コネクターを通して、CCDカメラのリレーポートからの信号で制御されます。なお「DSS-7」には、オートガイダー機能は付属致しておりません。淡く広がっている天体の場合等は、多少量の恒星時駆動伴っとしても、対象にある程度の面積がありますので、スリットを通過しきるまでの時間が多少ございますので、よりデータが入手しやすくなります。なお、例えば9等級程度の恒星のスペクトルは、口径20cm/F10の望遠鏡でおよそ30秒程の露光で得られます。また、これらの恒星をより広いスリットに導入すると一見便利と考えられますが、必要以上に広いスリットを利用して観測すると、スペクトル自体が不鮮明になってしまいます。
つまり、100μおよび200μの広いスリットは、主に一般星雲や系外銀河等のより広がりのある対象の測定のために用意されています。




スリットのない分光器との比較

入光口にいくつかのスリットを配置する、この「DSS-7」では、より面積のある天体のスペクトルをより良好なかたちで得ることが可能です。これは、転送グレーティングを使用したスリットのない低価格帯の一般分光器等では測定できないものです。スリットのもう1つの利点は、空のバックグラウンドをスペクトル分解し、それらを効果的に削除する事が可能で、例えば微光天体のスペクトルをも良化することができるという点です。即ち、スリットのない分光器の場合において、ガイディングエラー等によってスペクトルが不鮮明になる可能性が多くありますが、この「DSS-7」の場合、仮にガイディングエラーによって天体がスリットから外れた場合にも、このスリットでガイドエラー後に入光する光束をさえぎる事ができますので、結果、スペクトルデータの保護に役立つと言う事です。


分析ソフトウェア

SBIG社では、「DSS-7」の上記機種にあたる「SGS・スペクトルスコープ」用に開発された「SPECTRA」ソフトウェアをこの「DSS-7」に対して改良致しました。このソフトウェアによって、収集データの波長を簡単に較正し、また、一般的に入手が容易な「Excel」等で読めるテキスト形式にて保存が可能です。このソフトウェアの機能には、星のスペクトルデータから空のバックグラウンドデータを引き算する機能や、データをスムージングしたり着色するディスプレイモード、更には従来の方法でのスペクトルを視覚化する機能などがございます。なお、スリット撮影等の機器の制御には付属のCCDOPSソフトウエアを介して行ないます。





観測

実際に「DSS-7」を使用して、多数の天体を観測し、その機能を検証しました。下記の図7に「ベガ」のスペクトルとスペクトル曲線の画像を示します。「ベガ」は数々の研究によって正確な輝度がわかっていますので、テスト星には最適です。今回使用したSTVの「Eファインダー」は、簡素でかつ非常によく定義された光学系で、これを今回利用してベガを測定し、併せて大気伝播も測定しました。このデータによって、CCDカメラにおける「ベガ」の絶対感度を計算することができます。その結果を下記図8に示します。このデータの精度は、おそらく+/-10%もの高精度なものとなっているはずです。


図7

図8




下記の図9に、「はくちょう座のP星」に代表される「Wolf Rayet Star
」と「WR135」のスペクトルを示します。両方ともベガとはまったく異なる輝線構造を持っており、「WR135」の方が、輝線数が多く、かつ線幅が太くなっています。広い方のスペクトル幅が実物で、星の大気が高温であることを示します。



ウォルフ‐ライエ星[Wolf-Rayet star] :より幅の広い輝線スペクトル特性を持つ、きわめて高温の星。1867年にC. WolfとG. Rayetの両氏が発見。現在までに同特徴の星が100個程度発見されている。




光学系との接続

このDSS-7を実際にご利用頂くためにはスペクトル撮影を行なう対象との間の位置に特定の光学系を取り付ける必要があります。このDSS-7は、取付け口の規格が
「Cマウント・メスネジ」で、この時のフランジバックは「約18.0mm」、この箇所に付属品の「C→T変換アダプター」を併用する事で「Tネジ・メスネジ」、フランジバックは「約25.0mm」となります。
 その他の機器への接続や詳細につきましては以下をご参照下さい。











DSS-7・光学系接続方法
「+Cマウントアダプター」:

バーダー社製「Cマウントアダプター」

「+Cマウントレンズ」:

→ 市販の「Cマウント用レンズ」をご利用下さい。 ←

「+C→T変換アダプター」:

「&」バーダー社製「#21」





SBIG社製 分光器「DSS-7」と「SGS」との比較表
パラメータ
DSS-7
SGS
 対応入光F値 

F10


F10/F6.3

分光解像度 

5.4オングストローム/一画素


高解像度:1.07オングストローム/一画素
低解像度:9オングストローム/一画素

9μによる解像度(ST-7) 

15オングストローム

高解像度:2.4オングストローム
低解像度:9オングストローム
分光範囲(ST-7) 

4,130オングストローム


高解像度:820オングストローム
低解像度:3290オングストローム

CCDに投影するスリット幅 

25μ


18μ

スリット直角方法のぼやかし 

最大25μ


最大100μ

その他のスリット寸法 

50 / 100 / 200μ


72μ

特に適している対象天体 
広がった星雲/系外銀河


恒星

 測定ソフトウエア 
SBIG社製「SPECTRA」ソフトウエア(英語版のみ)

Hα近辺に対する感度 
5〜10倍


1倍


バックフォーカス 
25.0mm(Tネジ)/18.0mm(Cマウント)



40.4mm(SCネジ)/15.0mm(T
ネジ)

望遠鏡への取付規格(機器本体側) 
Tネジ(メス)/C
マウント(メス)


SCネジ(メス)/Tネジ(メス)

本体寸法 
56×102×
110mm


76×102×178mm

本体重量(カメラは別) 
780g


1400g

対応機種 
ST-402ME1603ME3200ME
ST-7XME8XME9XE10XME2000XM
2000X
CM4000XM4000XCM
ST-7XMEi8XMEi9XEi10XMEi
2000XMi2000X
CMi2000XMi-UV


ST-7XME8XME9XE10XME2000XM
2000X
CM4000XM4000XCM

 推奨機種 
ST-402ME(クラス1)

ST-7XMEi(クラス1)


ST-7XME(クラス1)

販売特価(品番) 
製造中止


製造中止

ご注意:フランジバックの関係から「DSS-7」「SGS」のいづれも「ST-L」シリーズは非対応となります。



SBIG社製冷却CCDカメラなら、単に「観賞用写真」が取れるだけの機能では留まりません!
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SBIG社製品日本輸入総代理店
SBIGJapan(国際光器/株式会社マゼラン)



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